vol.64ある日、僕はアンドロイドに出会った。第2章 リスタートボタン

vol.64ある日、僕はアンドロイドに出会った。第2章 リスタートボタン

2019年12月26日 1 投稿者: syohei

あれから随分と長い時間が経った。今年最後の授業が終わり、急展開のようにクリスマスが来た。間違って乗ってしまった女性専用車には、これからTONIGHTを楽しむ前提を踏まえて、全身完璧なコーデに包まれている。

窓の外は、凍えるように冷たく少しの人が歩いていた。21時39分。いつもの街はいつものような街だった。視野は、窓の外から電車の中に目線が移動した。そこには、以前出会った、正しくは「見かけた」、アンドロイドがいた。彼女は、真冬にも関わらず赤のスカートで黒の高そうな洋服を着こんでいた。誰かと会うのだろうか。急いでいる様子はなく、ただただ窓の外をじっと見つめていた。

私はどうしても、彼女のことが気になり後をこっそり着いていくことにした。降りる駅は、まだまだ先のようで空いた椅子に座った。私はもう少し彼女の顔が見える位置に移動した。が、なんだか自分は変態な気がしてそこにとどまった。彼女が座る前のカップルは今日のデートの話で盛り上がっていた。その笑顔が溢れる表情はよっぽど楽しかったのだろう。

そうこうしているうちに、そのカップルは駅に降りてしまった。4人座席で座っているのは、彼女だけである。脳裏で勇気を出して行動せよっという文字が勝手にどこからともなく出てきた。これは、、

次の瞬間、私はいつの間にか、彼女の前に居ていることに気が付いた。

慌てた私は、両手をコートのポケットにしまい、視線を外に向け遠くの夜の山を見つめた。

丁度トンネルを入る瞬間、私たちが窓に反射して、目が合った。

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彼女と出会って2カ月が経った。相変わらず何を考えているのか分からないが、なぜか居てて落ち着く。たまに見せる自然な笑顔には、彼女がアンドロイドだということを忘れさせようとする。

今日は、二人で買い物をする予定だった。彼女はいつも10分遅刻してはじける笑顔で謝ってくる。こちらとしては、もうその笑顔をみるだけで遅刻はどうでもよくなる。今日も可愛い。彼女はいつものように私の腕の中へ手を潜り込ませてにこっと笑った。

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アンドロイドの目の奥は、光が無く、それでも光をみようと必死に見つめているような目だった。どこか寂しげで一人が好きっという私と同じタイプだ。私は、それでも恥ずかしさのあまり目をそらしてしまった。でも、彼女はじっとこちらを見つめている。外を見ているのか、私を見つめているのか、分からない。

もう一度視線を彼女の目を見ようと顔を動かす。細い足がすらっとスカートから見える。また、視線を下に向けた。私は、何をしているのだろう。急に苦しくなり動揺していると、

彼女は当然、くすくすと微笑した。

そこには、私をしっかり目の前で笑ったアンドロイドがいた。