vol.56 ”ある日、僕はアンドロイドに出会った”第一章 黒春時代

syohei 10

夢中になる時間を感じたい。

何でもいい、何か1つでも、私が心の底から

私と時間を忘れる時間を…

(んっ…)

昨日は、夜遅くまでゾンビのドラマを見ていたせいか、朝起きるのがだるい。ホラー系を最近みるようになったのは、刺激が欲しかったのだろう。平凡すぎる毎日を自分で変えようとしても、そこまでの自信と勇気がないわけではないが、そうやって頭で考えている自分を客観的に見るその時間を感じるとき、途端に頭が痛くなる。

最初、ホラー映画は人間の足や首が容赦なく跳ね飛ばされ、グロイ部分は沢山あった。しかし、いつしかその部分も慣れてしまい、人間の首が跳ね飛ばされても何も感じなくなった。

(首が跳ね飛ばされる…(映像))

(…)

映画のように最後は感動したり、最後は悲しくなっても、私たちはその出演者が過ごした時間を、いわば人生の一部を見ることができる。現代では、まだ成し遂げることができなくても’タイムスリップ’を味わうことができるのだ。しかし、これは時間が超越しすぎる。時間が過ぎていく過程を無視し、重要な部分だけを切り取り、意味が通るストーリとして成り立っているのである。

夜2時30分、静かなキーボードの入力する音だけが部屋に響き渡っていた。

――――――――――――――――――――――

臭い。

扉を開けると一階からたばこのにおいがした。

また父が隠れて煙草を吸ているのだ。

(だミッシュ)

最近、覚えた英語の悪口だが、意味は忘れた。

私は煙草を吸う人は、偉い人でも美人でも父でも許さない。主流煙より副流煙の方が害があることを知らないのか。お金はかかる。周りの人にも迷惑をかける。ストレスで煙草に逃げるのは弱い証拠だ。たまに煙草を吸っている自撮り写真を見るが理解に苦しむ。恐らく、カッコいいと思っているのだろう。

今日も無言で家を出る。学校のことはすべて母に任してるので、後の家のローンや食費などはすべて私が負担しているからいいだろう。夫婦とは、こんな感じにいずれ喧嘩が長引き、そして話さなくなるのか。ま、問題は私立の理系に行った私に一番責任があるのだろうが、せめて弟のフランス留学の経済的な支援はやってあげて欲しい。そんなこんなで、父は学校のことについて話すのはめったにない。

最近あった会話は、来年の学費を誰が払うのか。恥ずかしながら、来年までは母に頼るしかない。そのことを伝えると、父は「…」何も言わずに、その場を離れた。父は、年収一千万を超えたとあるとき突然、言ってきた。高卒でも仕事熱心な父は、ずっと頑張ってきた結果が実ったのだろう。でも、昔からやりたいことがあった。なんて切り出し、介護業界へ転職した。退職金は沢山あるだろうが、2人分の学費を払うためにパートで働く母への負担は、変わらなかった。

それでも、私はもし将来結婚して働くことを考えると嫁には子供の世話や家事などを押し付けずに一緒に頑張りたいと思う。が、共働きでそれが実現するのかと想像すると難しい。

母は看護師の資格を持っているが仕事にはいかせずにいる。その優しすぎる性格は時に、傷つきやすく壊れてしまう。ひょろっとした身体は、毎日大きな不安に囲まれながら生活する小鳥のようだ。

「結婚相手は、」

と条件をいくつかあげようとしたとき、条件を上げる資格もないクソな生活を送っている自分は、権利はない。とはっきり認める以外他ならなかった。またそれにも、私の将来好きな人ができても、相手を幸せにできる自信があるのだろうか。私の告白戦は、これまで0勝10敗だ。恐らく、告白の仕方、タイミングもあるが、人的にダメなんだろう。もう、女性と話すのは最近疲れてきた。

出会い系アプリを毎日チェックし、出会えるはずもない出会いを期待し、それでも同じことを繰り返す。

「(明日、課金してみようかな)」

夜、久しぶりに帰っている弟と家族で焼き肉を食べていたが、

前に座る父とはほとんど話さず食べ終えた。

弟がお皿にいれてくれたお肉は、もう冷たくなっていた。

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