ドリルを買いに来た人は、ドリルが欲しいのでなく穴が欲しい。

ドリルを買いに来た人は、ドリルが欲しいのでなく穴が欲しい。

2020年6月11日 400 投稿者: syohei

「私が欲しいのはお金」と彼氏は言った。いっぱい働いて、誰よりも残業して何度も何度も怒られてそれでも前を向いていた。私は彼の姿をかっこいいと思ったが、なぜか応援していたいとは思わなかった。そう感じるようになったのはもう幸せと感じなくなったからだ。本当は「彼氏が欲しいのは、お金でなく幸せ。」だと気付いて欲しかった。お金が増えれば大きなお家にも住めるし、旅行だって沢山できる。あった方がいいのだ。間違いない。私はお金を貯めた、1000万円。こつこつ貯めた。安心感と自信は手に入れた。ここから何かが始まる。そう胸が躍っていた。

春雨。もう日本には雨が降らなくなった2067年7月。絶対領域が隔離されてもう20年も月日を繰り返した。絶対領域に近似されるエリアはほぼ第2船体工場と呼ばれるようになったのは最近のニュースだ。毎日の心境変化を数値化し世界は情報核が生まれた。情報核は人の体に触れると反応する第二人格だ。まさにヒトとメディアは必死に反論していたが、それはもう過去の話になった。

夕焼けの光がビルに反射し情報核のアーチが映し出される。メトロイドはエネルギーの一種で最先端科学でもまだ未解決の部分が多い。科学者は求めるエネルギーを完成させたものの、解決は出来なかった。古代時代から2058年までの地球の軌跡35℃から生み出される太陽から放つ高波長と海の乱反射を組み合わせあ超自然空芯論だ。簡単に言えば、ある条件下で空気中に芯のような物体を作り出す魔法のような法則だ。これにより人はヒトで無くなる「無盡」が始まろうとしていた。

台所で水の音が部屋に響き渡る。今日は張り切って料理をしている彼女がいた。僕の目線に気付いたのか彼女は不思議そうにこちらを見つめていた。2秒ほど見つめ合っていたが、彼女は「にへ」と目を細め笑っていた。その瞬間はカメラワークで納めたように美しく、彼女を可愛らしくまた思った。何もない日が続いた日々をバックアップされたように思い出される。苦しくもないが、特に何もしない日々が4年続いたあの日のことを。僕はまだ感情に出せず彼女に秘密にしている。再び水の音が聞こえる。

「heiiiiiim」

昔、水の音は「シャーーーー」もしくは「ジャーーー」と表現されていたらしい。信じられないが、正しくはheiiiiiiiimだ。また100年経つと違った表現で水が表されるのだろうか。生活の質は2021年東京オリンピックより3点7倍と表示されているが、第二政府は相変わらず隠蔽している。国民の概念が崩れ、企業と呼ばれていた会社が国のような政策「第二儘構想」が上手く軌道している。その時のように平和とまでいかないものの、センチメンタルな感情は今や行動に変えられる世の中になったのはすごいと感じる。その結果、自己を肯定させる制御システムが開発し、事件は東京第二工場爆破事件以来一切起こっていない。そう、あの日までは…

教育が最前線で世の中を盛り上げていた2025年。一人の学者は言った。「教育は他人に教える教わるのでなく、それまでに学んだ体験からこれからの体験を自ら作りだすことが可能な方程式だ。これにより人の想像は限界を超え、何度でも一人でもはるか先へ向かう」。若手の哲学者は無知からそれまでの経験則からpatternを分析し、情報核を生み出す第一陣の先手を打った。アリストテレスが言ったように彼にも同じような世界線があったのであろう。

咲いた花を見つけた真夜中の梅雨入り。これが最後の雨だと誰が予想しただろう。大切な人を失った原因を夢の中で模索する。解決できるはずのない会えない友人に今日も僕は想いを寄せる。滑り台の上から眺める景色は暗闇ばかりで足元が滑る。夜へ向かう街灯は明かりで僕を精一杯照らしてくれるように感じた。午後23時40分。人通りでなく、今日は田んぼ道を行くことに決めた。ここら辺の地域はまだ田んぼがあり、遠くでカエルの鳴き声が聞こえる。そっと目を閉じて、深く深呼吸する。大きなため息と混じり不愉快な気持ちになった。首筋がジクジク刺さる感じだ。首筋に生ぬるい風が横切る。半月の夜にという本がある。満月の夜にと言う本の続きらしい。相(あい)反するヤギと狼が仲良くなるストーリだ。最後はよく覚えていないが、続編が出たと世間は騒いでる。そんなどうでもいいニュースがあったと思い出しながら道路に出た。その時、30m先に傘を持った若い女性が歩いているのに気づく。こんな時間に僕と同じように散歩しているのだろうか。グレーのモノトーンで落ち着いた青の傘で雨に濡れて水滴が反射しているピカピカの赤い靴をしていた。一瞬彼女と目があった気がしたが気のせいか。見覚えがあるような顔立ちだった。どこかで…。水玉模様の目の前に広がられる真っ暗な空をもう一度見上げた。空はどこまでも遠くに感じる。

ゴオオオオオオオオオオオオオオ!

当然大きな音と共に目の前が見えなくなる。正しくは目を閉じるしかなかったのだが、鼓膜から激しい痛みが残っている。これ以上にない痛みだ。感覚が鈍る。ん、鼓膜が切れていた。なんだってんだ。

「take 6point undersecond 」

大きな雷撃のような後、右耳でこれが繰り返しリピートされているのがやっと理解した。そういえばあの人は、

気が付くと私は彼女の目の前に立っていて、彼女は私をじっと見ていた。

気が付けば雨は止んでいた。

まるでもうひと1の世界線が生まれたときと同じように

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